吉野材での建築に関するQ&A

今までに多く寄せられたご質問と、その回答をまとめてみました。
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Question?  施主支給で木材は購入できる?
 これから念願の新居を建てる予定で、ぜひ吉野材を使用したいと思っています。 特に玄関とリビングの化粧材にはこだわりを持ちたいので、自分で選んだ材を使用したいと思っております。 予算的にもできるだけ自分で準備し、良い材を安く手に入れたいと思っています。 そこで、施主支給として御社の木材を自ら購入したいのですが、どうすればよいでしょうか? そもそも建築の素人である私が建材を購入するのは難しいでしょうか? 
Answer
 建築の素人である施主様が、自ら全ての建材を調達するのは確かに難しい事ですが、ある特定のこだわりある部分の建材のみ、施主様ご本人が“施主支給品”として調達して工務店に施工してもらう事は十分できます。 逸品にこだわりを持たれた施主様が、ご自分で納得できる建材で施工したい場合は当然ありますので、弊社のような無垢材屋では、以前より施主様から直接そういった問い合わせが多くあり、インターネットで製品を紹介するようになってからは、さらに頻繁に施主様本人がご購入に訪れるようになりました。 下記は、そういった方にご説明させていただいている内容です。 もし“施主支給品”として、材をお取り寄せされる意向がございましたらご参考ください。

●お取引のおおまかな手順
@施主様と工務店さんとで、よく相談して“施主支給品”として使用したい建材をはっきり決める。
A設計士さんにその部分の数量・寸法を拾い出ししてもらう。
Bその数量・寸法を、施主様自ら弊社(無垢材屋)まで見積もり依頼する。
C弊社よりお見積りと、ご納期をご提示しますので、折り合いがつきましたら、工務店さんとご相談の上施主様自ら正式にご発注していただく。
D施主様と弊社との間のみで、代金のお取引させていただく。
E弊社から、指定された場所へ納品させていただく。
F工務店さんに施工していただく。

 今まで何度もこういった形で色々な方にご購入いただきましたが、工務店さんにご理解をいただけていれば、問題なくお取引できました。 トラブルになった例としては、工務店さんと話し合いを進めないうちに建材を取り寄せてしまったため、多くの不用材を生んでしまった事などがあります。

Question?  無垢材はあばれる?
 国産木材を使用して我家の新築をしたいのですが、知人に「無垢材はアバレ(曲り・反り)が発生して、「隙間」や「段差」が現れる」と聞き躊躇しています。 実際にはどうなのでしょうか?
Answer
 木材が大気湿度まで乾燥する「生材から→乾燥材」になる過程の間で、木材の「アバレ」が出るタイミングがあり、その時の曲り度合いは、その木個体の性格により違います。 弊社では長年の製材経験から、生材のうちにそういった大きく曲がりやすいと見られる木を選別除去したうえで、さらに全て乾燥処理をしっかり施し、「アバレ」を出させ尽した後に製材して出荷します。 しかし、それでもこのような「伸縮」による、「曲り・反り」は、天然無垢材である以上、少しは生じる事はあります。 もちろん程度の大小はあり、あまりに極端な「曲り・反り」が起こった場合は問題ですが、極小では必ず生じます。 そういった、湿度の高い時期には湿気を含んで膨らみ、乾燥する時期には湿気を放出して縮むといったような特徴は、木の植物としての機能で、また、その特徴が天然無垢材としての価値でもあり、プラスチックや金属の合成建材とはまったく別物の建材の証でもあります。 古来からの日本建築は、無垢材のみで建築してきたわけで、そういった事は、当たり前のように理解され、木の特徴を柔軟に用いた施工をされてきたのですが、昨今は「曲り・反り」や「伸縮」などが無い、合成建材と混同されていき、無垢材の特徴の短所ばかりを気にされるようになりました。 そういった木の短所も長所もご理解いただいた上で、「天然無垢材」で建築されると、愛着を深く感じれる、良い住居になると思います。

Question?  フローリングの防音性は?
 マンションをリフォームする予定で、床張りを無垢材フローリングにしたいのですが、マンションリフォームの場合、防音性が気になります。 無垢材フローリングの防音性は大丈夫でしょうか? 御社の木材はあくまでも一戸建て用フローリング材なんでしょうか? 下張りにコンパネを入れ、その上に直接張っていくだけではだめなんでしょうか?
Answer
 弊社のフローリングは、特別に一戸建て用という事はなく、現在まで、マンションのリフォームや新築にも多数使用されております。 そして、天然無垢材だから特に防音性が低くてダメだ、というようなことは関係ないと思います。 やはり、その下の防音処理が大事で、それについては施工業者さんに対処していただくしかありません。 どの程度の防音処理をして、どのような工法を用いて敷設するかは、マンション管理者と工務店さんのほうにご相談ください。

Question?  大工さんの腕前?
 リフォームを予定しているんですが、天然無垢材で建築する場合、大工さんとリフォーム屋さんとでは、やはりそうとう腕に差がでるものですか?
Answer
 大工さんとリフォーム屋さんとの腕前の違いというより、直接現場で工事される職人さん個人の腕前になってくると思います。(もちろんその他の職人さん方とのチームワークも大事ですが) 天然無垢材を使用しての建築は、日本古来から何百年と受け継いできた工法ですので、そういった技術を習得されている大工さんと、じっくり相談し希望を伝え、最終的に任せるのが一番と思います。

Question? 桧風呂に使用できる桧材とは?
 桧風呂を設えるのが夢なので、良い桧材を求めてるのですが、同じ桧でも風呂用の材というのがあるのでしょうか? 毎日のように加湿と乾燥を繰り返す、木材にとっては過酷な環境の風呂場には、やはりそれなりの材が必要なのではと心配になりました。
Answer
 浴室材としての桧は、とくに耐朽性の高い“赤材”が多く用いられます。 節の部分も高湿には向いていませんので、浴室用としては“赤無節”もしくは“赤特選上小節”ほどの等級の材が用いられます。 さらに“反り・曲り”も出難い目の通った良材ということになり、これらの条件を満たした材は、桧としては希少ですので、単価としてはけっこう割高になりますが、“夢の檜風呂”としましては、最高の物になると思います。

Question? 節の内のヒビ割れは?
 某所で見た桧フローリングの「生節一等」材では、大き目の節内は大なり小なりのヒビ割れが入っていました。 御社のフローリング材は”節埋め加工”を施してあるとの事なので、こういったヒビは存在しないのでしょうか? また、そういったヒビ割れがあるとダメなのでしょうか? 私は「生節一等」の味わいが好みなのですが、家内は気になるようで、購入を躊躇しております。
Answer
 確かに弊社ではできるだけ美しい製品に仕上げるため、”節埋め加工”を施しております。抜けて節穴になってる物や、あまりにも見苦しい死節を、私どもの判断で選び出し、できるだけ埋めています。 しかし実際には、節の多い「一等」の等級の物には節内のヒビ割れした材も多数混入しております。 木材の乾燥過程に、どうしても節内は乾燥による収縮によって干割れを起こす物が多くあります。 あまりにひどく割れてしまった物は排除しますが、支障ないと判断される物は製品となります。 
 4mの一等材で、節の干割れが無い物を製作しようとすると、原木からの採取率が、あまりに低くなりますので、とてつもないコストがかかり、現実的に不可能です。 ですので、「生節一等」材には節内のヒビのある物は必ず混入しています。 ヒビの気になられる施主様は、「上小節」や「特選上小節」をお薦めいたします。 少し「一等材」より割高にはなりますが、ご満足いただけると思います。
 最終的にどの等級を選ぶかは、施主様のお好みになるので「大きな節が沢山あるほうが、カントリーチックで味わいがあって良い」という方は「生節一等」をご購入されます。 ご心配されている事ですが、今まで天然無垢材になじみが無かった方は、四角四面で均一なクオリティーの合成建材と比較してしまい、初めて触れる時に、その野性味に少し驚いてしまう事もあるようです。 ただ、多くの方は施工が終わって、その部屋に入ってみると、とても満足されています。



吉野材と快適に暮らすためのQ&A

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Question?  桧フローリングにカビ?
 マイホームを新築して、桧フローリングに4月の中旬に蜜蝋ワックスを自分たちで塗り、5月5日に入居したのですが、添付写真にあるよう、床のふちに何やらカビのような黒い斑点が出ています。 場所はだいたい建具の敷居があるところや、縁、際にあたるところ、土台のコンクリートの上の辺りです。 ただし、2階にもありますので、土台の上という限定はできません。 桧と言えば、お風呂にも使われるような材なのに、早くもカビているとしたら、大変悲しいことです。でも、せっかくのやわらかな風合いなので、末永く楽しみたいとも思っていますので、こういう場合の対処法を教えていただければ、助かります。
Answer
 4月中旬に蜜蝋ワックスを塗布されたときは、このような斑点はなかったのですか? 4月中旬ワックス塗布〜5月5日入居までの間に現れたということでしたら、なんらかの汚れの付着ではないかと思います。 少なくとも、メールの内容による環境からは、カビの発生は考えられません。 施工中に、例えば墨汁・インク・ペンキ・煤・飲み物等々を、なんらかの理由で飛沫させてしまい付着してしまった可能性です。 あと、考えられるのは、桧特有の桧油精分のにじみにホコリ(汚れ)が付着した可能性です。 吉野桧の赤身部分や節部分には油精分が他産地の材より比較的多く含まれていて、きっちり乾燥を施されている材でも、後々にじみ出てきます。 この油精分は天然のワックスになり、なんとも良いツヤを放ち、水気もはじき、桧特有の“香り”や防虫成分の元にもなっており、吉野桧の非常に良い性能の一つなのですが、フローリングなど重ね合わせて長期保存していると、なぜかにじむ量が多くなり、表面がべたつく事もあります。 そうなるとその油膜にホコリが付着し、その部分が黒くなったりします。
 とりあえずこの写真を見る限り、木繊維に食い込んだ“カビ”等ではないようなので、まずはお湯に中性洗剤を薄く混ぜ、よく絞った布で拭いてみてください。 それでも落ちなければ乾かしてから、#200前後の木工用サンドペーパーで、様子を見ながら軽く擦ってみてください。 それで汚れが落ちたら、また蜜蝋ワックスを塗布すれば問題ないと思います。 無垢フローリングの良いところは、多少汚れや傷が付いても、こうやってサンドペーパーで表面を薄く削り取れば、またリセットできるところです。これは合成建材フローリングにはまねできない良さですね。 ちなみに凹み傷が付いてしまった場合、その部分に濡らした布を当ててアイロンで温めると木は湿気を吸って膨らみ、かなり復元します。

Question?  杉と桧の香りはきつい?
 吉野杉・吉野桧で建築を検討しているのですが、「杉や桧は香りがきついのではないか?」と、いう家族からの問題提議がありました。 先日送ってもらったサンプル材を化粧ケースに入れておいたら、開けた時に結構きつい香りがして驚いたのです。 自然にフロアー材等で使用した場合、香りはどれくらいの期間で気にならない程度になりますか? ある意味とても良い香りだとは思うのですが・・・。
Answer
 確かに杉・桧は独特の香りがします。 桧は“桧の香り”として芳香剤が販売されているほどですので、良い香りとして認知されていると思います。 杉も古くからお酒やお寿司に、この杉の香りをつけるため“桶”や“酒樽”等の材料に使用されたりしていますので、一般的には広く古く認知されていると考えます。(杉葉はお線香の原料でもあります) どんな香りでもそうですが、狭い密封された容器などに充満させて、その濃くなった臭気を吸うと、当然「きつい臭い」と感じられますので、多分今回はそういった状態だったのではないでしょうか?
 
 今まで室内に施工されて、「臭いがきついので困った」といったお話は聞いた事はありませんので、普通に生活される状態の部屋への施工でしたら気になられるような事はないと思います。(「良い香りで嬉しい」といった評価はよくいただきます。) 杉・桧の香りは施工後ほどなくして発散され、慣れもあり気にならなくなると思いますが、無垢材は自然の吸排湿作用がありますので、その動きに合わせて、香りもある程度放出されると思います。
 
 それより、やはり“化学物質(接着剤・塗料等)”の臭いのほうがよっぽど問題ありますので、新築直後はご注意ください。 特に幼いお子様がおられましたら、そういったシックハウスの原因になる、有害科学物質の気体は、床面に漂いますので注意が必要です。 無垢材の天然の香りより、そういった科学物質の臭いに慣れてしまっている事が、意外と恐ろしい事実であると思います。

Question?  フローリングのメンテナンスは?
 桧のフローリングを敷設した場合、無塗装の板のメンテナンスや、通常のメンテナンスはどのようにすればいいですか? また、ワックスは、どのようなものを使えばよいですか?
Answer
 桧は特に、油精分を多く含んでいますので、無塗装のフローリングの場合、基本的に乾拭きだけでもOKです。 ただ、日の良く当たる場所などでは、日焼けして変色しやすいので、気になるようでしたら、市販の塗装材を定期的に塗布して防止することになります。 ワックスや塗布材は市販の物で、できれば無垢材の持つ良い特徴(吸排湿作用など)を妨げない物が好ましいと思います。 ドイツ製の「OSMOカラー」や、「蜜蝋ワックス」などが良いようです。あと、地方によると、牛乳や石鹸をワックスとして用いる事があるようです。 桧・杉ともに、年数が経つと、表面は渋いアメ色に落ち着いていきます。
 詳しくは『吉野杉・吉野桧フローリングのメンテナンス』ページもご参照ください。



吉野材の購入に関するQ&A

今までに多く寄せられたご質問と、その回答をまとめてみました。
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Question?  杉のおがくずは手に入る?
 バイオトイレなどの触媒に利用したいため、大量の杉おがくずが必要です。 御社では発生したおがくずをどう処理しておられますか? そういったおがくずを手に入れる事は可能でしょうか?
Answer
 弊社では、もちろん杉と桧のおがくずは毎日大量に発生しておりますが、その処理は近所のおがくず取扱い専門業者にすべて任せております。 この業者は各製材会社より収集したおがくずを、分別・袋詰めして販売しています。 その会社に問い合わせてみますと、杉おがくずだけでもお取引に応じさせていただくと申しておりました。 よろしければそちらの会社をご紹介させていただきますので、直接詳細をお問合せください。

Question? 間伐材は手に入りますか?
 山で間引きにより伐採された間伐材を利用して、ベンチやテーブルなどを作り、資源の有効活用をしたいと思っております。 御社で間伐材は手に入りますか?
Answer
 山林の所有者や原木市場に問い合わせてみたのですが、現在の日本林業の状態では、「“間伐材”が山より製品として搬出される事はない」と言う現実を伝えられました。 やはり現在の単価では、間伐材の搬出コストも捻出できず、よくて山中に投棄で、場所により間伐もなされずに放置されるのが現実のようです。 今のところ思いつく、少量の間伐材を手に入れる方法としては、直接山まで出向き山林の所有者と相談して、自ら持ち帰るという方法ぐらいでしょうか。 あまりお役に立てず、申し訳ありません。 はからずも現在問題とされている山林の現状を直視したご質問で、私達材木屋が、今後取り組んでいかねばならない問題でもあります。

Question? 良い杉材(桧材)を選ぶには?
 杉材を購入する時、自分で選ぶとなるとどういった部分を基準に見ればいいのでしょうか? 化粧用の造作材として美しい材が必要です。
Answer
 良い杉材であるという条件を、いくつか挙げてみます。
@目が細かくきれいに流れている。 
A色合いが整っている。 
B平常環境下でよく乾燥している。 
Cアテやヤケなどの木の変質部分が含まれていない。
 などです。 @の目相は、節の近くの木目は波打ったりしています。 造作の場合、綺麗に流れてるほうが良いとされています。 Aの色合いは、赤みは淡いピンクで、白太は純白が良いとされていますが、地方によっては濃い赤みが良いとされたりする事もありますので、好みに左右されるとこです。 視覚的なデザインを考慮されるのでしたら、現物をよく見て統一感を出すのが良いと思います。 Bの乾燥方法で、杉は基本的に自然乾燥材が良いとされています。 人工乾燥材とは色合いが微妙に変わってくるからです。 触れてみてしっとりしていたり、持ち上げてずっしり重たかったり(比較物がなくても、なんとなく水っぽい重たさでわかると思います。)そういったのが、乾燥が甘い材となります。 Cは当然の事ですが、後にプレナーをかけたら現れたりすることがありますので、注意が必要です。 これらの事を基本的な判断基準として材をお選びください。 無垢材はやはり自然の物ですので、材ひとつひとつに個性があり、それらを理解してあげる事が最終的に最良の選び方になります。

Question? 吉野材と、その他産材との違いは?
 日本三大美林の一つとして、御社の取り扱っている“吉野材”は有名ですが、その他の産地の材(木曾や秋田)と、どういった違い(特徴)があるのですか? 
Answer
 吉野産材の代表的な特徴はかなり古くから始められた人口植林の材であるということです。 吉野材は数百年をかけて、代々に渡り様々な技術開発をしながら、人工林により良い木だけを求めて育ててきた品種ですので、建材として特化した木材であるといえます。 ですので、効用として用途で例えるなら、床の間の「化粧用磨き丸太」なら天然の味わい深い木曽桧、柱などは曲がりや伸縮、色合い変化の少ない吉野桧と、好みにより使い分けることもできます。
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